【中学生】英作文のコツ

【高校受験:都立高の英作文】

「書けない」のは「読めない」から

都立自校作成校の過去問を解き始め、最初に当たる壁は「時間が足りない」ことではないでしょうか。特に、大学入試共通テストに対応する学校が増える中で、長文の文章量が圧倒的に増加しています。これにより、「解き終わらない」「英作文にまわす時間がない」という状態が生じます。

物理的な意味では、「速読」も大事です。「書けない=時間がない」のであれば、それは「読めない=時間がかかる」からです。速く読めればその分時間が余り、英作文に費やせますから、読解を速く正確にすることも練習が必要です。

一方で、「書けない=書き方が分からない」のは、「読めない=英文の構造が分かってない」ことが原因のこともあります。つまり、一文にしても文章にしても、ある程度パターン化された表現がストックされていないことで、採点者に伝わらない英文を書いてしまうということです。

ここでは、2つの問題に対して、

・速読ができるようになっても「時間が足りない」とき、いかに英作文を書くか
・書ける表現を増やすにはどうすればよいか

の2点について考えていきましょう。

短時間で英作文を書ききるには「リスニングの時間」と「典型表現」の使い方がコツ

まず「リスニングの時間」についてです。音声でリスニング問題の説明がされている間に、英作文の問題を見ておきましょう。このとき英作文が本文と独立して出題されている場合は、リスニングの時間のうちに設問処理をある程度しておきましょう。通常リスニングは問題Aと問題Bの二種類が出題されます。問題Bは記述を含むため、英文が読まれる2回とも注意深く聴く必要がありますが、問題Aは1回で答えを出すことができます。ですから、2回目に英文が読まれている間に、英作文の「ネタ出し」をしておきます。問題Aは3問出題されますから、問題Aの間にある程度英作文を完成させることも可能です。

次に「典型表現」です。頭に思い浮かぶ内容を英語にする際、イチから英語に直していては時間がかかり過ぎますし、文法ミスも出やすくなります。「頭に浮かぶ日本語を全て英語に直す」のではなく、「完全ではないが近い内容を、確実な英語で書く」ことを意識しましょう。この際、受験勉強でインプットしてきた表現を参考にしましょう。

たとえば2020年の日比谷高校では、

「ある人が自動翻訳機を使っている。その人は<雨>と相手に伝えたいが翻訳機が<飴>と出力してしまった」

という状況を英語で表すという問題が出題されました。

これを英語で表現しようとすると、

A man wants to say “Ame(in English “rain”)”, but his automatic translation machine can’t understand his intonation, so the word which the machine says is “Ame(in English “candy”)”.

という、とんでもない英文になってしまいます。設問のような状況は、

The man’s machine speaks a wrong words.

という平易な表現で表すことができます。これは、

Our city has three libraries.

のような無生物主語構文を応用したものです。

使える表現を増やすために

「書く」ために「読む」

では、そういった表現をストックしていくにはどうすればよいか。「書きたいことはあるけれど、どう書いていいのか分からない」という悩みもよく聞きます。これを解決するために、まずは日本語の作文をイメージしましょう。文章を書くときは、それまでに読んだことのあるフレーズや言い回しを使っているはずです。

つまり、「読んで覚えた語彙=使える語彙」なのです。

ですから、「書ける」ようにするための第一歩は「読む」こととなります。では、何を読むべきなのか。それは「教科書」です。都立高校の問題は教科書の内容が出題範囲ですから、教科書を読み込むことが近道となります。さらに、現在の教科書はボリュームも増え、使える表現の宝庫です。教科書を音読し、基本例文を和文英訳できるようになるだけで、相当の表現を使えるようになります。

また、他者の答案を読むことも勉強となります。自分で書くだけでは、どうしても特定の表現しか使えず、出題傾向が変わった際に対処できません。先生だけでなく同じ受験生の答案を読み、「使える」と思った表現はマネして書いてみることです。リライトの英作文講座では、毎回の授業で講評を行うことで、こうしたプロセスを確実に踏めるよう指導しています。