大学入試自由英作文 独学の役に立つ参考書

大学入試自由英作文 独学の役に立つ参考書

自由英作文には指導者の添削が必須です。しかし「書いてもってくれば添削するよ」と言われても、そもそも添削に出す英作文が書けない・書き方が分からないという受験生も多いのではないでしょうか。確かに、「型」が分からないものを最初から自分で書くのは難しいと思います。しかし日本には、そういった受験生に「書き方」を教えてくれる参考書が多く存在します。ここでは特に、「書き方」がくわしく書かれている参考書を紹介します。ぜひ、参考にしてください。

 

①『大学入試 原田健作の自由英作文が面白いほど書ける本』KADOKAWA 原田健作 著

「どう書いていいのか分からない」人にお勧めです。四部構成で、英作文の書き方をとても丁寧に解説しています。
第一部は、英文の構成についてのルール・必修表現がまとめられています。また、「何を書けばいいか分からない」という受験生のために、「アイデアの出し方」を紹介しています。大学受験だけでなく英検の対策としても、読む価値があると思います。
第二部は、本書の約半分を占めています。医療や環境などのテーマ別に、問題と解答例を詳しく解説しています。各設問に対し、「賛成の解答例」「反対の解答例」が掲載されているのもユニークです。
第三部では、設問形式別の英作文の考え方があります。東大や早慶など難関大で出題されるイラスト説明や英文要約にも触れていますから、こうした大学を受験する人には参考になる考え方が目白押しです。
最後に第四部では、GTECやTOEFL、TEAPなどの特徴をまとめ、具体的にどう対策すべきかが書かれています。外部試験利用型の入試を受ける受験生にとっても有益でしょう。

以上のように、かなりボリュームがある一冊となっています。全て読み通すことができなくとも、第一部の内容をインプットして過去問の英作文を書く補助としたり、過去問の類題を演習する問題集として使ったりと、様々な使い方ができることもメリットです。店頭で一度手に取ってみてください。

②『英文表現力を豊かにする 例解和文英訳教本 自由英作文編』プレイス 小倉弘 著

「何を書いたらいいのか分からない」人にお勧めです。書き方が分かり、何とか書ける状態になった後の壁は、書く内容です。型どおりに書いても、内容が薄ければ高得点は狙えません。国語の評論文や英語長文を多く読み、知識や教養が豊富になるにしたがって「何を書くべきか」がすぐに思いつくようになりますし、書いた英文の内容も充実してきます。

1つのテーマに対して文章を書くとき、「経済」「言語」など視点を増やすことによって、文章の説得力は増します。たとえば、「高校の制服は廃止すべきか否か」に対して、「廃止するべきでない」と答えるとします。
「服装を選ばなくてよいから楽だ。だから制服は必要だ」というだけでは説得力に欠けます。これを、
「服装を選び外見を飾ることよりも勉強に集中する必要がある。また、私服登校により経済的格差の顕現やいじめの原因になる可能性がある。だから制服は必要だ」
と書くと、一気に説得力が増します。これは、「教育」「経済」「社会」という観点から述べているため、個人的な経験よりも普遍性があるためです。

本書ではこれらの「視点」を「切り口」としてまとめ、それぞれのテーマについて具体的が賛否双方の立場から英作文の例を挙げています。やや難しめの表現もありますが、いわゆる「ネタ本」としても活用できるでしょう。

③『大学入試 自由英作文のすべて』研究社 鬼塚幹彦 著

「書き方も内容も頭では分かるけどテストで書けない」という人にお勧めです。

文章を書く際、「書き出しをどうすればよいのか分からない」「一通り書いたけど語数が埋まらない」といったことはないでしょうか。「自由」英作文ですから、その都度頭を悩ませる受験生も多くいると思います。本書はこうした問題に対して処方箋を与えてくれます。
第1章の「初心者のためのテクニック」→第2章で「中級者のためのテクニック」→第3章で「減点されないテクニック」→第4章では「設問へのアプローチ」という流れで、「語数をどのように埋めるか」から「いかに減点されないか」まで、全てのレベルの受験生にとって有益な考え方や知識が紹介されています。
たとえば、Men and women should have equal roles in the home and in the workplace.という主張について自分の意見を書く、という問題があったとします。その書き出しについて、本書では
「Nowadaysで書き出す」
ことを勧めています。これは、まず「状況」を記した後に自分の意見を書くことで、文章に説得力を持たせると同時に語数を埋めるという意味があります。自分一人で考えていると、なかなか思いつかない表現かもしれません。

他にも「体験談で語数を埋める」「具体的な場面を抽象的に表す」など、受験生が試験場で使いやすいテクニックがぎっしりと詰まっています。「英作文では満点を取れる」という筆者の主張のもとに、問題集のように模範答案例は多くありませんが、英作文に役立つ具体的な表現や困ったときの対処法について、受験生の視点から細かく伝えてくれます。解答例を豊富に載せた問題集ではなく、「指南書」として活用していただければと思います。