英文法を丸暗記すると応用できない理由|形が変わると解けない人へ
英文法を丸暗記すると応用できない理由|形が変わると解けない人へ
英文法の例文や公式は覚えている。それなのに、疑問文になったり、否定文になったり、使われる単語が変わったりすると、問題が解けなくなる。
この場合、単純に覚える量が足りないとは限りません。完成した英文の形だけを覚えていて、「その文がどうやってできたのか」を自分でたどれないことがあります。
文法を別の問題でも使えるようにするには、完成形を見るだけでなく、判断できないときに元の文へ戻り、主語・動詞・目的語・修飾関係と、そこから何をどう変えたのかを確認することが大切です。
たとえば、受動態なら「be動詞+過去分詞」、比較なら「as+原級+as」、関係代名詞なら「先行詞+関係代名詞……」といった基本の形を覚えます。
こうした形を覚えること自体は必要です。ただし、その形を一つの完成品として丸ごと覚えているだけでは、問題の見た目が少し変わったときに対応しにくくなります。
この記事で見るのは「何を覚えたか」より「どう作ったか」です
「正しい形を言えるか」だけではなく、なぜその語順になるのか、元はどのような文だったのか、何をどう変形したのかを説明できるかを確認します。
例文を覚えたのに応用できない理由
教科書や参考書の例文を覚えると、その例文とよく似た問題には答えやすくなります。
ところが、主語が変わる、動詞が変わる、疑問文になる、否定文になる、といった変化が加わると、同じ文法の問題でも解けなくなることがあります。
ここで見たいのは、「その単元を覚えたかどうか」だけではありません。英文の中で、どの語が主語で、どれが動詞で、何が目的語や修飾語なのかを見分けたうえで、必要な文法操作を行えているかです。
表面の並びだけを覚えると、形が変わった問題に対応しにくい
たとえば受動態で、次の文を覚えたとします。
この一文そのものを覚えていれば、よく似た穴埋め問題には答えられるかもしれません。
しかし、応用できるかを見るなら、完成した受動態から元の関係へ戻せるかを確認します。
The window was broken by Tom.
大切なのは、受動態の公式をもう一度覚えることではありません。元の文で誰が何をしたのかを確認し、そこからどこを変えたのか説明できることです。
ここで受動態を例にしているのは、受動態そのものを詳しく解説するためではありません。完成した形だけを覚えていると、少し条件が変わった問題に対応しにくくなることを見るためです。
疑問文になった場合も同じです。完成した疑問文の語順だけを思い出すのではなく、まず元の文で主語と動詞が何だったのかを確認します。そのうえで、疑問文にするために何を前へ出したのかを見ると、語順の根拠を説明しやすくなります。
この「元の文から語順を見る」という考え方を受動態の疑問文で具体的に確認したい場合は、
受動態の疑問文を元の文から確認する解説
も参考になります。
公式は覚えたのに英文を作れない理由
英文法では、最初に基本の形を覚えることがあります。これ自体が悪いわけではありません。
問題になるのは、その形を完成した文字列としてだけ覚えてしまうことです。
たとえば比較で「as ~ as」を見たとき、「asとasの間に形容詞か副詞を入れる」とだけ覚えていると、短い穴埋め問題では解けても、英文を一から作るときには語順を決めにくいことがあります。
その場合も、いきなりas ~ asの完成形を作ろうとせず、まず普通の文へ戻して考えます。
元の普通の文
Baseball is popular in my country.
比較を加えた文
Baseball is as popular in my country as in your country.
このとき確認したいのは、「as ~ asの公式を知っているか」だけではありません。
元の文にin my countryというまとまりがあり、比較している相手もin your countryという同じ関係になっていることを見ます。
完成文を一つのかたまりとして暗記するのではなく、元の文に何を加え、どの部分とどの部分を比べているのかを確認します。
ここでも目的は、比較の全ルールを説明することではありません。受動態でも比較でも、「完成形を覚えたか」ではなく「元の文から、なぜその形になるかを説明できるか」を見ています。
この見方を比較の英文で具体的に確認したい場合は、
as ~ asを元の普通の文から考える解説
を参照してください。
「公式を知っている」と「自分で使える」は同じではありません
覚えた公式を言えるかではなく、別の単語に変わっても、自分で語順と必要な語を判断できるかを確認します。
「元の文に戻す」と、説明できない箇所が見えてくる
完成した文を見て考え方が分からないときは、その完成形だけを何度も見直すのではなく、いったん変形前の文へ戻してみます。
元の文へ戻すと、「何となくこの形だった気がする」では見えなかった関係を確認できます。
- どの語が主語なのか
- 動詞はどれなのか
- その動詞のあとに目的語が必要なのか
- どの語がどの名詞を修飾しているのか
- 前置詞はもともとどの語と結びついていたのか
- 完成形を作るために、どの語を移動・置換したのか
前置詞を忘れるときも、完成形ではなく元の文を見る
この確認が分かりやすい例の一つが、前置詞を含む関係代名詞です。
I was born in it.
この二つを関係代名詞でつなぐとき、二文目にあったinを忘れることがあります。
This is the village in which I was born.
日本語では「私が生まれた村」と訳せるため、英文を書くときにinの必要性を見落とすことがあります。
そこで、完成した関係代名詞の形を無理に思い出そうとするのではなく、元の文まで戻します。
I was born the village.なのか、
I was born in the village.なのか。
元の文ではinが必要だったと分かれば、関係代名詞に変形したあとも前置詞が必要だと判断できます。
これも関係代名詞だけの覚え方を増やすための例ではありません。前置詞を忘れたときに「関係代名詞の公式を覚え直す」のではなく、「元の文では前置詞が必要だったか」まで戻して確かめる、という見方の例です。
同じ確認方法を前置詞+関係代名詞の具体例で見たい場合は、
前置詞+関係代名詞を元の2文へ戻して考える解説
で確認できます。
受動態でも、比較でも、関係代名詞でも、共通して見ているのは単元名ではありません。完成した文をいったんほどき、元の文でどの語がどの役割だったかを確認することです。
疑問文・否定文になると解けないときも、元の文から考える
「普通の肯定文なら解けるのに、疑問文や否定文になると答えを作れない」という場合もあります。
これも、疑問文用・否定文用の完成形をそれぞれ丸暗記していると起こりやすい状態です。
まず肯定文へ戻し、主語と動詞を確認します。そのうえで、疑問文にするなら何を前へ出すのか、否定文にするならどこにnotを置くのかを見ます。
- 元の肯定文の主語はどれか
- 動詞はbe動詞なのか、一般動詞なのか
- 助動詞があるのか
- 疑問文にするとき、何が前へ出るのか
- 否定文にするとき、notはどこに入るのか
ここでも、「疑問文はこの順番」「否定文はこの順番」と完成形を別々に覚えるのではなく、元の文から何を変えたかを見ることが大切です。
形が変わるたびに別の公式として覚えていると、覚えるものは増えていきます。元の文と文法操作の関係が分かれば、見た目が違う問題でも同じ考え方で整理しやすくなります。
自分で確認するときは、文法操作を説明してみる
「解説を読めば分かる」「答えを見れば分かる」という状態と、自力で問題を解いたり英文を作ったりできる状態の間には差があります。
自分で確認するときは、正解した問題でも、完成文から逆向きに説明してみます。
- この文の主語はどれか
- 動詞はどれか
- 完成する前はどのような文だったか
- どの語を移動したのか
- どの語を別の形に変えたのか
- なぜこの前置詞が必要なのか
- なぜこの語順になるのか
答えが合っていても、この中に説明できないところがあれば、そこをもう一度確認します。
「正解したから理解できている」と決めるのではなく、自分の言葉で説明できるかを見ることで、丸暗記で答えられただけなのか、文の仕組みまで理解できているのかを確かめやすくなります。
先生が見るのは、どの文法操作を説明できないか
同じ問題を間違えていても、原因は一人ひとり同じとは限りません。
受動態の形は覚えていても、主語と目的語の区別が曖昧な場合があります。関係代名詞の形は覚えていても、元の文で動詞と前置詞がどう結びついていたかを確認できていない場合もあります。
疑問文なら、疑問文そのものを忘れたのではなく、元の肯定文で主語と動詞を正しく捉えられていないこともあります。
そのため、間違えた単元名だけを見るのではなく、完成した文から元の文へ戻したとき、どの文法操作を説明できないのかを確認します。
「分かった気がする」で終わらず、説明できるか、問題で使えるか、自分で英文を作れるかまで見ることで、どこを確認し直す必要があるのかが見えやすくなります。
別の単語・別の文でも同じ操作を再現する
文法を理解したかどうかを確かめる最後のポイントは、同じ例文をもう一度言えることではありません。
単語や文の形が変わっても、同じ文法操作を自分で再現できるかです。
一度説明できた文法は、主語・動詞・比較する対象などを変えた別の文でも使ってみます。
疑問文や否定文でも同様に、語句が変わった別の問題で、自分で主語や動詞を確認して文を作れるかを見ます。
目標は、別の文でも同じ操作を再現できることです
- 元の普通の文を確認する
- 主語・動詞・目的語・修飾関係を見る
- 何を変えるのか説明する
- 完成文を作る
- 単語や文を変えた別例でも同じ考え方を使う
基本例文は言えるのに、別の文では解けない場合は、例文をさらに増やす前に、完成形になるまでに何を変えたのかを確認した方がよいことがあります。
答え合わせのあとに「なぜ」を一つ加える
家で文法を復習するときも、答え合わせをして終わりにせず、正解した英文について一つ説明を加えてみてください。
「なぜ、この語順になるのか?」
「元の文に戻すと、どうなるのか?」
「単語が変わっても、同じように作れるか?」
ここを自分の言葉で説明できれば、その文法を形だけで覚えているのか、文の仕組みまで見えているのかを確認しやすくなります。
丸暗記から抜けるには、完成形にするまでの文法操作を見る
英文法で応用できないとき、「もっと例文を覚えなければ」と考えることがあります。
もちろん、基本例文や基本の形を覚えることは必要です。
ただし、例文を増やすだけでは、疑問文になったら疑問文の形、否定文になったら否定文の形、単語が変わったら新しい例文、と別々に覚えることになりやすくなります。
そこで、判断できないときは元の文を確認します。主語・動詞・目的語・修飾関係を見たうえで、完成形にするために何を変えたのかを説明し、別の文でも同じ操作を使ってみます。
受動態、比較、関係代名詞をこの記事で取り上げたのも、それぞれの単元を一から解説するためではありません。
単元が変わっても、「完成形を覚えたか」ではなく、「元の文に戻して、なぜその形になるのかを説明できるか」という確認方法は共通しているからです。
「この例文を知っているから解ける」ではなく、「初めて見る文でも、知っている文法を使って考えられる」。そこまでつなげることが、丸暗記で終わらない文法学習の目標です。
覚えた英文法を、別の文でも使える状態へ
自分で元の文へ戻してみても、「どこから確認すればよいのか分からない」「解説を見れば理解できるのに、自分で英文を作ると語順を決められない」ということがあります。
その場合は、間違えた単元名だけを見るのではなく、主語・動詞・語順・修飾関係のどこを説明できないのか確認することが必要です。
Re-Writeの英文法パターンドリルについて詳しく知りたい方は、講座ページで内容をご確認ください。
「例文は覚えたのに、形が変わると解けない」という状態について、学習方法を検討するときの選択肢の一つです。

